第28章 誘拐
「申し訳ありませんが、貴方のお願いを聞き入れることはできません。私は悟と別れる気も離れる気も全くないです!!」
目の前の女性を強く睨み付け眉間にシワを寄せると、彼女もキツく私を睨み付けながら突然片手を上げた。
そして、まるでそれに合わせるようにして次々と黒いスーツを着た男達が現れる。帳を破って入って来たのか…
10…いや、15人はいる…
この人達…多分私を殺す気だ。
「話し合いで解決しないのでしたら仕方ありません、本当はこんな事したくはなかったのですが」
そう言って冷たい視線で私を見つめた彼女は「行け」そう短い言葉を吐き出すと、スーツを着た男達が私目掛け走り出した。
全員術師だ、これは本気を出さないとやられる。
私は背から刀を瞬時に引き抜きそれをビュンッと素早く振り下ろすと、走ってくる男たち目掛け刀を向けた。
「手加減しませんよッ!!」
足に軽い呪力を溜め一気に走り出す。目の前に向かってくる人達へ躊躇なく刀を振り下ろせば2人ほど吹っ飛んでいく。
女だからってナメてもらったら困る。私はなんて言ったって特級術師の五条悟と夏油傑の同期だったんだ、高専時代は何度も彼らにズタボロにされながらも戦ってきた。そんな最強の彼らに比べたら、こんな人達どうって事ない、2人の足元にも及ばない!!