第24章 引越し
裏路地を出てすぐ…私は後悔する事になる。
そう、何故なら私の隣で私をニコニコと見下ろし歩いているこの恋人…五条悟はサングラスを外しているからだ。
うん、そうだった普通に考えれば分かる。
悟はサングラスを外しちゃダメだったんだ…というか絶対にダメだった。
私の目が腫れてる?そんなのこれに比べたらどうだっていい。取るに足らない事だ。
「えーあの人モデルさん?めっちゃカッコ良くない!?」
「というか日本人かなー?あの瞳すっごい綺麗だよ!本物っぽいよね!?」
「いやいや下手な有名人より何百倍もイケメンでしょ!!」
ものっすごく見られている。ものっすごく噂されている。
いつものレベルなんてものじゃない。とんでもないほどの視線だ。
完全にやってしまったとため息を吐き出す私に、悟は呑気に「ん?」みないな顔でこちらを見下ろし腰に手を回しながら微笑んでいる。
やめてっ今そのキラキラフェイスで微笑まないで!!
そんな私の願いも惜しく…
「きゃーー!!見た!?今の笑顔見た!?」
「あれは1秒あれば顔面だけで女妊娠させられるでしょッ!!」
「確かに!ヤバイ!私一瞬意識飛んだし!!」
いやいや…とんでもない事言うね…お姉さん…私の彼氏なんですけど…
「悟…やっぱりサングラス返すよ…」
カチャッとサングラスを外し悟へ手渡すと、悟は「え?何で?」とそんな分かりきった事を聞いてくる。
「本当にサングラスが必要なのは、泣いて目を腫らしている私ではなく…そのキラキラをしまうべき悟の方でした…」
「ははっ、何言ってんの?本当リンってたまにいきなり面白い事言うよね」
「良いからそのまま付けてな」そう続けて言った悟に、私は再びサングラスをかけられると。結局このざわめきはタクシーに乗り込むまで続いた。