第24章 引越し
自分へ心底呆れたような声を出し、ため息を吐き出したところで。
「つーか何だよ…さっきの男…一目惚れって。リンは僕のなのに…」
私の首元で小さな声を出す悟は、不安気に呟く。
「リンが赤くなってたの…僕も嫌だった…」
そうだよね、私だって悟が他の女の人に赤面していたら絶対に嫌だ。
「うん…ごめんね…でもあの人にドキドキしたとかじゃなくて…あぁいうのに慣れてないからビックリしただけなの」
これは本心だ。私が心動くのは悟にだけだから。
「私は、悟にしかドキドキしないよ。だから…信じて。でも嫌な思いさせてごめん…ね」
私の首元へ顔を埋めている悟を、私も強く強く抱きしめる。
「僕達って…何かデートの度モメてるよね」
「確かに…そうだね」
言われてみればそうだ。初めてのデートでは私が悟のスマートさにモヤモヤして逃げて…2回目は悟の昔の女性に嫉妬して…今回はこんな感じで…
そう思うと、悟はさっき自分が嫉妬のしすぎで嫌われないか心配してたけど、私も大概だ…
「いつか…嫉妬しなくなる日来るのかなぁ」
思わずそんなことを呟いた私に悟は「そんな日来ないでしょ」と即答すると「だけどこれって、僕はリンをリンは僕を大好きだってことでしょ」と言って首元へ唇を寄せた。
私達は学生時代からの付き合いだ。だから互いのことを良く知っているのは当然。だからだろうか…お互いに嘘偽りなく過ごせていると思うし、素でいられていると思う。
これが私達なんだと。これで良いんだとそう思う。
「きっとこれからも、僕は数えきれないくらい嫉妬すると思う。多分ウザいくらい」
「うん」
私もだよ…悟モテるし。あと何回嫉妬したらいいか想像もつかないよ。
「だけど…それでもずっと僕の側にいて、僕の手を離さないで、僕だけを見てて」
「うん…悟だけを見てる。ずっと悟だけを見てるよ」
そんなの当然だ。私には悟しかいない。悟しかいないのだから。
「ありがとう、リン。僕の恋人でいてくれて…僕を好きでいてくれて…ありがとう」