第24章 引越し
私はその悟の言葉にブンブンと大きく顔を横に振る。
私が悪い…嫌いになんてなるはずがない。
「嫌いにならない…よ…でもっ…さとる…こわかっ…たぁ…」
「そうだよね、僕怖かったよね、ごめんね」
悟は私を優しく包み込むと、ぎゅっと背中に回した手へ力を込める。
「あと…人前で…キスした…のもっ…イヤ…だったぁ…」
か細い声を出しながらぽろぽろと落ちていく涙を、悟は眉を垂れ下がながら一つずつ拭き取ってくれる。
「うん、そうだよね…リンが嫌がる事してごめん」
「こんな…ッ…ところで…あんなこと…するの、も…イヤだったよ…」
「嫌だったよね、ごめんね、本当にごめん」
私の身体をすっぽりと包んでいる悟は、私を宥めるようにして背中を優しくさすると、そのまま私の首元へと顔を埋めた。
「だけど…私もっ…ごめ…なさい」
「リンは悪くない、全部僕のくだらない嫉妬。僕がリンを他の男に取られたくなくて…見せたくなくて…いつも全然余裕がないんだ…」