第24章 引越し
「さと…るっ…んっンッ…だめ…」
はぁはぁと息をしながらも、立っていることがやっとで…
「少し黙ってろよ」
そのいつもとは違い、低く響くような悟の声に…強引な行動に…私はピクリと身体を震わせると。
ぽたりと頬を伝うその濡れた感覚に、瞳をぎゅっと閉じた。
そしてそれに気がついたのか…
悟が塞いでいた唇を離し、下着に入れていた手を止める。
「ごめ…っさとる…ごめんね…おこっ…ないでぇ…」
ひっくひっくとしゃくり上げるようにして涙を流す私を見て、悟が腕の力をするすると抜いていく。
そんな彼を見上げれば、悟は軽く眉間にシワを寄せ後悔したように静かに瞼を伏せた。
「……ごめん、やり過ぎた」
静かな悟の声が裏路地に響く。
そして、ポタポタと垂れている私の涙をそっと拭い取った。
まるで波のように、悟の呪力が引いていくのが分かる。
「こんなんじゃ僕…いつかリンに嫌われるよね…」