第24章 引越し
片手には紙袋、もう反対の手では私の手を優しく握っている悟。そして「少しカフェで休もうか」という彼の言葉にうなずく。
「決まった?」
「うーん、ケーキ食べたいけどもう夕方だし夜ご飯食べれなくなっちゃうかなぁ」
ぶつぶつと呟いてきる私に、悟はメニュー表を覗き込んだ。
「じゃあ半分こしよ、僕も甘い物食べたいし」
「いいの?」
「もちろん、好きなの選びな」
何だかつくづく思う、私って本当悟に甘やかされてる。そう思いながらも結局私も悟に甘えてしまって、チョコレートケーキとストレートの紅茶を注文した。ちなみに悟は甘々のミルクココアを頼んでいた。高専の時もよくココアとかいちごミルク飲んでたっけ。
ケーキにココアを組み合わせられるあたり、本当悟って甘党だと思う。でも確か甘い物を好きになったキッカケは、頭を働かせるために甘いの食べ始めたらそのままハマっちゃったんだっけ…?
そのあとケーキと飲み物はすぐに運ばれてきて、チョコレートケーキを口へと運ぶ。
「ん〜〜美味しぃ」
濃厚でとっても美味しいチョコレートケーキだ、思わず緩んでしまう口元。そんな私をココアを飲みながら見ていた悟が、頬杖をつきながらニコニコと見つめている。
「あんまり見られると食べづらいよ」
「だーって、リンが可愛いんだもん」
私はその言葉に、照れ隠しでプイッと一瞬視線をそらすと、ケーキをフォークで掬うい悟の口元へと運んだ。
「え、あーんしてくれるの?」
「ん、どうぞ」
悟の口へとケーキを入れると、悟は心底満足そうに「リンが食べさせてくれるとか世界一美味いケーキだよ」なんて言ってくる。
本当、やっぱり悟ってば私に甘い。