第24章 引越し
そんな私の言葉に、悟は再び驚いたようにサングラス越しの目を見開くと。
やっぱり私を甘く、そしてありったけ愛おし気に見つめ。
「リンはどこまでも、僕を夢中にさせてくれるね」
と優しく呟いた。
それは私のセリフだ。
今見せてくれている優しい笑顔も、愛おし気に細められた碧色の瞳も…ゆるりと上げられた色っぽい唇も、甘い甘いその声も。
私は悟の全部全部に夢中でどうしようもないんだ…
悟は私が持っていたスリッパをヒョイっと掴むと「じゃあこのこ、僕に似てるなら連れて帰らないとね」と言って私のサイズと悟のサイズの物を手に取った。
「悟白くまちゃんで良いの!?」
さすがに悟に白くまのスリッパを履かせようとは思っていなかったから、手にした悟を慌てて見上げると。悟は当然のように「全然良いよ、むしろ僕に似てて可愛いとか言われたら置いてけないでしょ」と言って笑う。
「まぁほら僕、何でも似合っちゃうから」
確かに、悟は何でも似合う。普通ならもう二十歳をとっくに過ぎた良い大人が…しかも男性が…白くまちゃんスリッパなんて履かないんだろうけど、悟が履いているところを想像してみても…うん、結構違和感ないかも。むしろ似合う。
「ふふっ、ありがと!悟」
ルームウェアと白くまスリッパを持ってレジへ向かう悟の背中へそう言えば、悟も嬉しそうに「いーえ、早く履くのが楽しみだね」とニコニコと微笑んだ。