第24章 引越し
悟が手に持っていたのほ、白いモコモコとしたルーム用カーディガンとそのお揃いのモコモコ靴下だ。
どうやら私は悟に似合う物を、悟は私に似合う物をそれぞれ探していたようだ。
「わぁ、モコモコで可愛いね!」
「でしょっ、そのルームウェアとも合いそうだしね、絶対リンに似合うよ」
悟は私から2着分のお揃いのルームウェアを受け取ると、私が手に持っている物に気が付いたらしく視線を向ける。
「それは?」
「あ!これね、悟に似てると思って!可愛いでしょ」
手に持っていた白くまのスリッパを悟に見せると、悟はニヤリと笑う。
「それって、僕も可愛いってこと?」
「えっ」
「だってその白くまと僕似てるんでしょ?」
楽しそうな顔をしてくる悟は、どうやら私をからかいたいらしい。うん、似ている。悟はこの可愛い白くまスリッパに似ている。だって正直言って私…
「うん、思ってるよ…私悟のこと可愛いって思ってる…」
私はポッと染まっていく自分の頬に感じながらも、恥ずかしげに上目遣いで悟を見上げると、悟は「そんなわけないじゃん!」とでも私が言うと思っていたんだろう。とてもビックリしたような顔をしている。
「え?マジ?」
「マジだよ」
そしてそんな驚いたような声を出すと次の瞬間には「ふっ」と笑って優しく目を細めた。
うん、ほら…この顔だよ。この顔が可愛いんだよ。
「カッコイイなら腐るほど言われてきたけど、僕に可愛いなんて言うのリンくらいだよ」
「そうだろうね」
だってこの表情を、他の誰にも見せたくない。絶対に見せたくない。
「呪術師最強の僕が可愛いってヤバくない?」
それに、私以外になんてしてほしくない。この表情を他の人に向けて欲しくない。
くすくすと笑う悟に、私はまだ少し赤い顔で見つめると。
「だって悟、いつも私のことすっごく優しい目で見つめてくれるんだもん…すっごく愛おしそうな笑顔見せてくれるんだもん」
そんなの…
そんな顔されたら…
可愛いに決まってる。
呪術師最強だろうが何だろうが…
可愛いに決まってるじゃん。