第24章 引越し
その後も、やたらと高いマグカップとやたらと高いお箸をペアで買った。もちろん会計は悟がしてくれる。荷物も食器を持ってこれから移動するのは大変だからと郵送にしたらしい。
うん、何だかもうセレブってこんな感じなんだろうなって思う。
そしてその次は私でも知っているほど有名な、ルームウェアなどを扱っているお店へ向かった。もうきっとこのまま値段を気にしていても仕方がない。というかどう考えても悟を説得するなんて無理だ。なんせ下手したら「ここからここまでぜーんぶ下さい」とか言いかねないタイプだからだ。
だったらうだうだ気にして迷うよりも、気に入った物をちゃんと見つけよう。そうじゃないと悟は本当店ごととか買っちゃいそうな勢いだし…
ルームウェアか、どんなのが良いかな。やっぱり着心地が大切だよなぁ。と考えながらカチャカチャとハンガーをずらしていくと、目に止まったのはサテン生地の深い紺色のモノ。
「これ悟に似合いそう」
サラサラとした生地でとても着心地も良さそうだし、何より悟の透き通るような白髪と綺麗な碧色の瞳をよく引き立たせてくれそうだ。よし!ルームウェアはこれにしよう!
「えーと、あとはスリッパか。あ…これ」
私は一つのスリッパを手に取ると、それを見て小さく笑う。
ふわふわの白い毛に、瞳は水色。スリッパの先端がシロクマの顔になっている何とも可愛らしいスリッパだ。ふふっ、何だか悟に似てる。
「何か気に入ったのあったー?」
私の少し後ろで色々見ていた悟が私の隣に来て私を見下ろす。
「ルームウェアはこれに決めたよ、悟に似合いそうだなぁって思って」
「え?リンが僕に似合いそうなの選んでくれたの?嬉しい〜♡」
「うん!これにしたよー」
持っていた紺色のルームウェアを手渡すと、悟はニコニコと微笑み「リンちゃんさすが僕のこと分かってる〜ありがとう♡」とウインクを飛ばす。
「あ!ちなみに僕もリンに似合いそうなの選んで来たよ」