第23章 待ちきれなくて
「それじゃあ僕達は、イチャイチャラブラブしながら高専向かおっか♪」
悟はキャリーバッグを持っているのとは反対の手を差し出すと、私の手をぎゅっと握りしめる。
「誰かお迎え来てくれるの?」
「いーや、タクシーで行くよ。誰かに迎え来させたらイチャイチャできないじゃん。最強の僕が恋人にデレデレしてるところ見られたらまずいでしょ?」
いやいや悟さん…いつも高専内でイチャイチャベタベタしてきてなかったっけ…?しかもその時人いても気にしてなくなかった?
生徒の前でもイチャイチャ出来るとか言ってなかった…?
まるで真っ当な理由みたいに言う悟を私はジロリと見上げると、彼はわざとらしくニッコリと笑顔で私を見つめ返す。
これは多分…サボりたいから時間稼ぎしてるんだろうな…
やれやれと思いながらも、まんざらでもなく悟の手を握り返している私も実はもう少し悟と一緒にいたい。
だって悟って本当に忙しいから、こうして日中2人きりでいられるなんて滅多にない。まぁ今実質仕事の合間時間だけど…
「そういえば私、悟の先生姿見たことないなー」
昨日悟が生徒達の様子を見に行くと言っていた言葉を思い出し、そんな事を言ってみる。
「あーそうだね。まぁ僕わりと忙しいし、いつも生徒と一緒にいられるわけじゃないからね。高専にいない事の方が多いし」
確かに、悟は本来先生をしてて良いような人材ではない。それでも自分の休みを削ってでも先生としてこうして高専へと足を運んでいる。
まぁもちろん、今みたいにちょっと面倒な時なんかはサボったりもしているけど…