第23章 待ちきれなくて
それでも悟はすごいと思う。
無下限呪術を使い六眼を持った特級術師なのに、教育という道を選んだ悟を私は尊敬している。
「今度見てみたいなぁ、悟が先生してるところ」
「えー、そんなのカッコ良すぎて気絶しちゃうよ?」
クスクスと笑い「するわけないでしょー」とツッコミを入れながらも、悟は頭も良くてよく周りを見ているから教えるのも正確で上手いんだろうなと思う。
きっと生徒一人一人を良く見ていて、その子に合った方法で色々な事を考え教育しているんだと思う。
まぁ性格上、言い方が悪かったり無茶な事を言ったりはしているだろうけど…
それでも特級術師直々に教わる事の出来る生徒たちは幸せなんだろうな。きっと悟にしか学べない事がたくさんあるはずだから。
「そういえば4月から面白い子が入学してくるんだよ」
「面白い子?」
「そ、特級過呪怨霊に呪われた少年がね」
「特級過呪怨霊!?」
「何でも、同級生4人をロッカーにつめちゃったらしくてさ」
「え?ロッカーに…?それはまたヤンチャそうな子なんだね…」
「いーや、その逆だよ。まるで今にも自分を殺して下さいみたいな顔をしていたよ。まだ若いのにね、苦労人だよ…まったく」
悟は少しばかりイラついたように溜め息を吐き出すと、何かを思い出したように顔を顰めた。
「この世界はいつになったら落ち着きを取り戻すんだろうねぇ」