第23章 待ちきれなくて
そのあとは嫌がる悟に無理矢理伊地知君へ電話をかけさせ、新幹線乗り場へと向かう。
私のキャリーバッグをゴロゴロと押してくれる悟は、キャリーバッグが尋常じゃないほど似合っていない。というか悟が持つと異様に小さく見えるなぁ。
しかも普段は悟だけでも目立つのに今日はこれまた長身で顔が良い七海君まで隣にいるものだから、やたらと大きい男二人に挟まれている私まで悪目立ちしている気がしてならない。悟はサングラスじゃなくて目隠しだから怪しくて周りの人興味津々だし。
新幹線では私と悟が隣に座り、その前に七海君が座る。本当は駅弁を買ったりお土産のお菓子でも食べながら帰りたかったけど、やっぱりまだ全員昨日の疲れが残っていたのか、それともこれからの任務に向けて身体が力を温存しようとしているのか、3人とも東京駅まで爆睡だった。
悟の肩にもたれかかり眠むっていた私は、悟の香りが心地よいのかとってもぐっすり眠れた。
「僕これから高専戻るけど2人はー?」
「私はこのまま別件の任務へ向かいます」
「うっわぁ、ダルイねー七海ファイト〜」
「まぁ…そうですね、出張帰りにそのまま仕事などさすが呪術師はクソです」
うん確かに、普通の会社なら出張からそのまま仕事とかありえないよね。
「じゃあ私は高専戻って報告書提出しとくね」
「すみません、よろしくお願いします」
「もちろん!お任せ下さいっ」
申し訳なさそうにする七海君へ、ピースをしてニッコリと笑うと、七海君もそれに応えるようにして小さく微笑む。
「じゃあ七海君2日間ありがとうね!別任務頑張って!」
「はい、ありがとうございます。ではまた」
手を振る私と悟に、七海君はペコリと頭を下げるとそのまま補助監督の待つロータリーへと向かった。