第23章 待ちきれなくて
朝アラームで目が覚めると、悟のクマはすっかり無くなっていてホッとした。
「いやー良く寝た!やっぱリンちゃんが隣にいると違うね〜」と悟は嬉しそうに言っていて、これから一緒に住んだら少しでも私が悟を癒せてたら嬉しいとそんな事を思う。
身支度を終えホテルのロビーへと行くと、すでに七海君は待っていて険しい表情で何やら電話をしている。仕事の電話だろうか。
私達にどうやら気がついていない七海君は、電話を切り溜め息を吐き出したところで。
「なーなみっ♪」
悟が七海君へとガバッと肩に腕を回す。
それに七海君はピクリと反応すると、こっちへ振り返るよりも先に「はぁ、何故貴方がいるんです」と低く呆れたような声を出していて、驚くというよりは呆れる感じだったかと納得していると、七海君はこちらへと振り返った。
「えへっ、来ちゃった♡」
「来ちゃったじゃないですよ、ここ何処だと思ってるんですか」
「静岡だよね〜いやー実に良いところだ!!」
「喧嘩売ってます?」
2人ってタイプは全然違うのに、というか真逆なのに本当仲良しだな〜とニコニコ見守っていると、そんな私に気がついた七海君が「温かい目で見るのはやめて下さい」と私を迷惑そうに見下ろすものだから、思わず「ふふっ」と小さく笑ってしまった。何かこの2人の関係性って高専時代から全然変わってないかも。
「それよりも、貴方スマホの電源切ってますよね?五条さん」
「ん?僕?切ってないよ〜」
「なら充電切れてるんじゃないんですか?伊地知君が尋常じゃない震えた声で私にまで聞いてきましたよ」
「え〜まっじー?」
どうやらさっきの七海君の電話の相手は伊地知君だったらしく、悟は特に焦った様子もなくポケットからスマホを取り出すと「あ、ほんとだ〜切れてるよ〜やっべ⭐︎」と全然ヤバイと思ってない口調で笑った。
絶対この人確信犯だ…