第23章 待ちきれなくて
「ごめんね、結局僕がしちゃった♡」
ニコニコと微笑みながら私を見下ろす悟はとても楽しそうで意地悪な顔をしていて、きっと初めからこうなる事が分かっていたんだと思う。
「悟って…本当にいい性格してるよね」
未だにボーッとする頭を必死で働かせながら悟を軽く睨みつければ「うん!よく言われる〜」なんて言いながらクスクスと楽しそうに笑った。
なんやかんやで、きっと私が悟に勝てることってないのかもしれない…悟って頭も良いし口も上手いから、私はいつも悟に流されてばかりだ。
まぁでも結局はそれでも良いと思っている私は、それこそ悟に夢中でどうしようもないのかもしれない。
「じゃあ約束通りキスしたし、そろそろ寝るよぉ」
悟が先ほどめくった布団を再びかけて二人で布団へと潜り込む。
「帰ったら引越しの事とか色々話し合おうね」
「うんそうだね、でも引っ越すって言っても悟の家すぐ隣だけどね」
「あぁ、そうだ。じゃあリンが今いる家もう売り払わないと」
「え?売るの?悟の趣味部屋とかだったんじゃないの?」
「ん?違うけど」
「そうなの?じゃあ何のための家だったの?」
「あー、それは秘密。とにかく早く売りに出さないとね〜」
「そんな急ぐ必要あるの?」
「あるある、だってもしリンがやっぱり僕と暮らすのやめるとか言い出したら嫌だし。逃げられないようにしとかないと」
「逃げないのに」
「わかってるよ、でも対策をしといても損はないでしょ。なんせもうリンは、僕から離れられないんだから」
ニヤリと口元は笑っているはずなのに、その瞳はとても真剣で。私を真っ直ぐに見つめるとちゅっと優しくキスをしたあと「大好きだよ、狂おしいほどにね」と甘美的で色っぽく……耳元で呟いた。