第23章 待ちきれなくて
少しだけ泣きそうになる。
悟が同じことを思ってくれていた事が嬉しかった。
まさか一緒に住むっていう考えは思ってもみなかったけど。だけど悟がそう思ってくれた事が、悟がそう決心してくれた事がとてもとても嬉しかった。
「うん…」私はそう小さく呟き悟をありったけの笑顔で見つめると
「こんな私で良かったら、一緒に住んで下さい!」
と、悟に抱きつきギュッと力一杯抱きしめた。
すると、それに返してくれるようにして悟も強く強く私を抱きしめ返してくれる。
悟はそのまま私の首元へと顔を埋め「はぁぁー」と小さく息を吐き出すと。
「断られたらどうしようかと思った…良かった、ありがとうリン」
珍しく少し緊張していたらしい悟が、少しだけ震えた声でそう呟いた。
「断るわけないよ、こんなに悟のことが好きなのに」
「でもほら、ずっと一緒は飽きるとか…付き合うと同棲は違うとか…よく聞くから。そう思われてたらどうしようって不安だったんだよ」
「そんな事思ってないよ、悟こそ私と一緒に暮らして平気なの?私飽きられたら嫌だよ…?」
少しだけ眉を垂れ下げる私を、悟は余裕気に笑い見下ろすと。
「僕がリンに飽きるわけないでしょ。でももし平気じゃないとしたら、それは僕じゃなくてリンの方だ」
「私…?どうして…?」
「僕が毎日リンを可愛がりすぎて、リンの身体が壊れちゃわないか心配」
ニヤリと口角を上げサングラス越しに楽しそうな表情を浮かべる悟に、私はやっぱり顔を真っ赤にすると「外でそういうこと言わないでってば!!」と小さく彼を睨みつけた。
「外じゃなきゃいいんだ?」
「違う!そういうことじゃない!」
「本当リンってば可愛いよね」
「悟は意地悪だよね!」
「リンの反応がいちいち可愛くて苛めたくなっちゃうんだよ♪」
「悟が恥ずかしい事ばっかり言うからでしょ!」