第23章 待ちきれなくて
悟のこういう所がすごく好きだ。
私の気持ちをあっという間に軽くしてくれる所。
私の気持ちを何よりも一番大切にしてくれるところ。
悟は優しい、普段はふざけてるけど…今思えば悟は高専の時からいつだって優しかった。
2人でドアの前で抱きしめ合いながら互いの顔を笑顔で見つめる。
すると…
“ぐぅーー”
そんな情けない音が室内に響き渡り、私はボッと顔全体を真っ赤に染め、悟は「ぶっ」と吐き出すようにして笑った。
そうだ私。お腹すいてたんだった…まだご飯食べてない…
盛大な音を響かせたのは私の腹の虫だった。
悟を真っ赤な顔で見つめ「笑わないで!!」と言うと悟は「ごめんごめんっ」と言いながらもしっかりと楽しそうにケラケラと笑っている。
「もー恥ずかしいよぉ…」
悟から身体を離すと、両手で顔を覆い赤面を隠すようにして視界を遮る。
「大丈夫、リンはお腹の音まで可愛いから」
「それって恋人ひいきがすごい」
「そりゃあ当然でしょっ、僕の可愛い彼女なんだから♡」
「そんなこと言うの悟だけだよ」
「当たり前じゃん!僕以外がそんなこと言ったらそいつ跡形もなく消すし」
「だから悟がそういうこと言うと冗談に聞こえないんだってば」
「だって冗談じゃないもーん」