第23章 待ちきれなくて
どうしよう…なんて切り出そう…
そう思っていた私に届いたのは、悟の震えるような小さな声だった。
“リン…ごめんね、僕が悪かったよ”
「え…」
まさか悟から謝ってくるとは思っていなかった…だって学生時代の時なんてくだらない喧嘩一つでも悟から謝ってきたことなんてほとんどない。
だから驚きすぎて思わず言葉を詰まらせていると
“僕…リンの事が好きすぎて前が見えなくなってた…ワガママなことばっかり言ってごめん。ただ不安だったんだ、僕にとってリンがそばにいてくれるだけでそもそも奇跡みたいなものだったのに…リンが僕以外の男といるのが嫌で…仲良くしてる姿なんて見たくなくて…”
私はその悟の言葉を制するみたいにして「私もごめん…!」とスマホを強く握りしめて大きく叫んだ。
「私も酷いこといっぱい言ってごめん、面倒くさいとか大人になってよとか言ってごめんね。本当はそんな事思ってないよ…悟に嫉妬されるのだって嬉しいし安心するって思ってる…それなのに、悟の気持ちも考えないでごめんね…約束守らなかったのは私なのに…あと七海君の事も、私が悟の立場だったらきっと同じこと言ってた…」
私は目にうるうると涙を溜めながら、それを必死に落とさないようにして話す。
“僕のこと、嫌いになって…ない…?”
「なるわけない!こんな事で嫌いになんてならないよ!大好きだよ!!」
悟…ごめんね、そんなに不安にさせて。
ごめんね……
「悟も…私の事嫌いになってない…?」
そう不安げにつぶやけば…悟は優しい声で「リン」と私の名前を呼ぶと。
“僕がリンを嫌いになるわけがないよ、そんな日は一生来ない。僕がどれだけ君を好きか…やっぱりリンはまだまだ分かってないね”