第23章 待ちきれなくて
部屋に戻りシャワーを浴びてベッドへと座り込む。
スマホを手にして画面を開けば、悟からの連絡が来ていないことに溜息を落とした。
この二日間、悟とは一切連絡を取っていない。
私から送ることもなければ、悟から来ることもなかった。
正直、忙しくて連絡をする暇も無かったというのもあるけれど…任務時間以外は悟の事で頭がいっぱいで喧嘩のことが頭から離れなかったくせに…結局私は謝ることすら出来ていない。
呑みに行くときは連絡するって言ったのに、約束を忘れて守らなかったのは私だ。それなのにあんなに悟に怒って…そりゃ悟も言い過ぎじゃない?って思った事はあったし、目が合って3秒で浮気とか無茶な事言ってくるのはどうかと思うけど…
でも悟は悟なりに私を大切にしようとしてそう言ってくれてたんだし…それに七海君とのことも。私だってもし悟に元カノがいて、2人で出張だなんて言われたらきっと不安になるし嫉妬だってする…
うん…謝ろう…悟と喧嘩しているのなんてやっぱり嫌だ。
それにもし…私がいない間に逆ナンとかされて…女の子に迫られたら…
そんな事を考えていると、ブーブーブーっと持っていたスタホが震え出す。
それに視線を向ければ、画面には【五条悟】の文字。
私はそれにビクリっと過剰なほど反応すると「ふぅー」と一度深呼吸してからスマホのボタンを押した。
「もしもし…」
“あ…リン、僕だよ”
いつもなら「お疲れサマンサ〜」とか「リンちゃんの声聞きたかったよー!」とか、そんなテンションなのに…電話の向こう側からは元気の無い悟の声が聞こえて来る。