第21章 恋人とデート
そしてリンはある場所で足を止めると、やっと僕へ視線を向けた。
「ここ、入る」
「え!?」
リンが足を止めた目の前の建物を見上げて僕は目を見開く。
何故なら、目の前はラブホだったからだ。
いやいや、いきなりどうした。
それどころか…照れ屋なリンが僕をこんなところに連れてくるなんてどうしたの!?と慌てながらも「早く」とリンにキレ気味に言われ僕は手を引かれるままラブホへと入った。
「どうやるの、これ。悟知ってるんでしょ?部屋とって」
「え…や、知ってるけど…本当に入るの?」
部屋の画像が映るパネルの目の前で、困ったようにリンを見下ろす僕にやっぱりリンは早くして、どこでもいいから早く」と怒り気味に言われ、とりあえず一番良い部屋のボタンを押して鍵を受け取ると、2人無言のまま部屋へと向かった。
その間も、リンは自分の唇を噛み締め泣くのを堪えているのか辛そうに眉を歪ませている。
そんなリンの表情を見て、僕がリンを傷付けたんだと…改めて感じる。
リンに手を引かれたまま僕達は部屋へ入ると、リンは僕の手を離しそしてこちらへと振り返った。