第21章 恋人とデート
「ちょっと…君さぁ」
キレそうになるのを抑えながらそうため息を吐き出す。
女なんてリン以外どうでも良いといくらヤケになって、来るもの拒まずだった僕でも、流石にコレはどうやらゴミの中のゴミを引き当ててたみたいだ。
面倒な上に馬鹿。
しかもなにより… リンの前で…
そして気が付く。僕の隣のリンが肩を震わせている事に。
「… リン!?」
僕はリンへ顔を近づけ覗き込むと、リンのその瞳からは…ぽたりぽたりと涙が溢れ出していた。
この女…殺してやろうか。
目の前の女を静かに睨み付け見下ろすと、女はパッと僕の腕を離して一歩後退りする。
「リン!ごめんっ僕…」慌ててリンの涙を指で拭いながら彼女の肩を引き寄せると、リンはギュッと唇を噛み締めそして僕の腕を勢いよく引っ張った。
そのまま早々と歩き始め、店の列からも。もちろん女からも遠ざかっていく。
「…リン?」
そんなリンへ話しかけるけれど、リンは答えることはなくどんどんと歩みを進める。