第21章 恋人とデート
「あれー?もしかして悟君?すっごい久しぶり♡全然連絡くれないんだもん、私ずっと連絡来るの待ってたんだよぉ?」
甲高く甘えたような声、それと同時に引っ張られる僕の腕。
誰だコイツ、記憶にねェな。
というか、いちいち女の顔も名前も覚えちゃいない僕からしたら、分かるはずもなく。
だけど間違いなくわかるのは、今コイツの存在が邪魔だってこと。
昔に一夜限りでヤッた女だろうか。まぁそれ以外考えられないか。
「ごめん僕、君のこと知らない」
ニッコリと微笑み首を傾げれば、女はたちまちポッと頬を赤く染めて腕の力を強める。
「え〜酷いー!あんなに激しくて熱い夜をすごしたのに〜もう私あれから全然悟君のこと忘れられなかったんだよ?」
僕がデカすぎるのか、それともリンが小さすぎるのか、僕の隣にいるリンの存在に気が付いていないのか目の前の女はそんな戯言を吐く。
この女、リンの前で余計な事言いやがって。
その瞬間、僕の隣の方から小さな声が聞こえてくる。
「悟は…私の彼氏なので、そういうのやめて下さい」
俺の横からひょいっと体を乗り出し肩を組んでいた僕の手を握り締めると、リンがそう遠慮気味に呟いた。
そんなリンにやっと気が付いた女はリンを驚いたように見つめた後、キッと強く睨み付けた。
「は?あなたが恋人?そんなわけない、だって悟君は恋人作らない主義だって言ってたし。どうせセフレでしょ?身体の相性なら絶対私の方が良いから、これからどうかな?悟君♡」