第21章 恋人とデート
そう、私にとって傑はあの頃と何も変わらない。
あの瞳を細めた穏やかな笑顔も
優しい声も
安心させるように私の頭を撫でる温かい手も。
全部大好きなままだ。
例えそれが……
もし次に傑に会ったとき、
彼を殺さないといけないとしても。
私はきっとこの気持ちを変えることは出来ないだろう。
「不自然なほどに傑の話を避けるのが苦しかった、まぁ仕方ない事なんだけどさ。私達以外はもう傑を凶悪な呪詛師としてしか見ていないんだし…私も、それ相応の感情でいないといけないのかもしれないけど…それでも私はやっぱり傑を…」
わたしがそう絞り出すように呟いたところで、悟が繋いでいた手をギュッと優しく握り。そしてゆっくらりと口を開いた。