第19章 長年の気持ち
「むしろ、離れて寝る理由がないでしょ」
悟は私の身体を引き寄せると、ピッタリと嬉しそうに隙間なく抱きしめた。
なんだか悟とこうしているのが、少し不思議な気分だ。高専の時は、まさか私達が付き合うなんて考えもしなかった。
そういえば…
「悟、ずっと前から私を好きだったって言ってたけど、いつから好きでいてくれたの?」
ずっとずっと好きだったと言ってくれた悟。
その言葉が私の胸をとても熱くした。だってこんな事言われて嬉しくないはずがない。
「高専一年の終わり頃からだよ、つまり10年もリンに片思いしてたってわけ。僕って本当ビックリするくらい一途だよねー」
10年も私を好きでいてくれたんだ。しかも高専一年の時から…それってつまり…
「好きだって意識してわりとすぐ、リンは七海と付き合い始めてさ。何度辛い思いしたことか…それでも結局諦めきれなかったんだから笑っちゃうよね。会ってもいない8年間ですらリンを忘れたことなんてなかったよ、ずっと好きだった。」
その悟の言葉に心臓が掴まれたみたいにぎゅっとする。
悟は、そんなにも私を想ってくれていたんだ。
そんなにも、私を思い続けてくれたんだ。
「悟…私悟のこと大切にするよ。絶対に幸せにするから…だからずっと私の側にいてね」
私のその言葉を聞いた悟は、少し驚いた表情をしたあと。真っ白なまつ毛を軽くふせ、キラキラと光る綺麗な瞳を細め微笑んだ。
「当然でしょ、僕がリンを離すわけがない。もしそんな時が来るとしたら、それは僕かリンが死んだ時だ。まぁ僕がリンを死なせるわけないし、最強の僕が死ぬわけもないから僕達が離れ離れになるとこは一生ないってことだね」