第19章 長年の気持ち
そう言うと、悟は本当に脱衣所へと入っていってしまった。
「全然平気なのに」
再びリビングで待っていると、本当に秒速でシャワーから上がって来た悟が部屋へと急いで入ってくる。
「疲れてるんだから、お風呂くらいゆっくり入ってきて良いのに」
「だいじょーぶ!早くリンと一緒にいたいしっ」
ソファーに座っていた私を背後からギュッと抱きしめると、耳元で「今日泊まっていくでしょ?」と甘い声で囁かれる。
部屋は隣りだし、遅くなっても別に帰ることはできるけど…でももっと悟と一緒にいたい。
「うん、泊まらせてもらおうかな…」
「じゃあもうこんな時間だし、寝室でゆっくりしよ」
悟に手を引かれ、寝室へと向かう。
「電気暗めので良いよね」
「うん、良いよ」
私の返事に、悟はベットサイドにある小さなオレンジ色の電気を付けた。
「おいで」
先にベットへと寝転んだ悟に手を引かれ、私もゆっくりと悟の隣へと寝転ぶ。
ふわりと掛けてくれた毛布からは、以前映画を観て寝てしまった時同様悟の香りがして心地良い。
「やっぱり悟の香り、良い匂いだよ」
「ちょっとリンちゃん…毛布嗅がないでよ」
毛布を首元まで手繰り寄せ、くんくんと匂いを嗅いでいる私に悟が苦笑いをする。
「それにほら、悟自身もとっても良い匂いだよ。私悟の匂い好き、安心するの」
悟を抱きしめ胸元へ顔を埋めれば。
今度は悟が私の匂いを確認するようにして私の首元へ顔を近づけた。