第19章 長年の気持ち
傑の変化に気が付きながらも。私達は何もしてあげられなかった。
傑の気持ちに気が付けなかった。
今まで私は海外にいたし、悟と硝子は二人で昔話なんてするような感じじゃないだろうから…傑の話が出ることはなかっただろうけど。
きっとこれから私は悟と過ごしていく中で、高専の時の思い出話が出ることもあると思う。
だって私達の学生時代の中心は高専だったのだから。
その度、私達は傑の話を避けるのだろうか。
その度、傑との思い出を自分の胸の中へ閉じ込めておかないといけないんだろうか。
そんな事…できない。
だって私は傑が大好きだ。いつも私を優しく見つめてくれる傑が。いつも頼りになる傑が大好きだ。
それは今も…そしてこれからも、変わることはない。
悟はどう思っているのだろう。
硝子はどう思っているのだろう。
私はその写真をもう一度見つめると、あまりに眩しい4人の笑顔に思わず小さな笑みが溢れた。
「…本当、楽しそうだなぁ」