第18章 自分の想い
「お久しぶりです」
その低く優しい声を聞いた瞬間…私の中の何が溢れ出し泣きそうになる。
あの頃よりも少し背が高くなり、髪は短く後ろに流されている。スーツを着ていても分かるがっしりとした身体は、大人の男性そのものだった。
そして…
「元気でしたか?」
優しく目を細め私に微笑むその姿は
変わらず昔の優しい七海君のまま……。
私は喉が詰まりそうになるのを押さえながら「久しぶりだね…元気だったよ」と小さく呟いた。
七海君とまともに話すのはあの別れた日以来だ。
そして気が付く。七海君は付き合う前のように敬語を使っているということに。
でもそんなの当たり前か、もうとっくの昔に別れているんだし…それに8年ぶりなのだから。
いまだに少し驚いている私に、七海君は「少し話しませんか?」と優しく声をかけた。
てっきりもうあまり話してくれないと思っていた私は、その言葉に驚いたあと。「うん」と七海君へ微笑む。
「日本に帰って来たんですね」
「うん、二ヶ月前くらいにね。七海君も呪術師に復帰したって硝子から聞いてたよ」
自動販売機で飲み物を買ってきてくれた七海君がペットボトルを私へと手渡す。
「ありがとう」
そのペットボトルを見れば、私が良く高専時代に飲んでたモノだ。七海君…覚えててくれたんだ…