第17章 二人でデート
ここまでの抵抗を見せたからか、悟がそれ以上私を追いかけてくることはなくて…私は慌ててエレベーターへ乗り込むと閉めるボタンを押した。
ハァハァと息を切らしながらエレベーターの鏡に映る自分が目に入る。
顔は真っ赤に染まり、瞳は酷く揺れている。
どうしよう…どうしよう…
逃げて来ちゃった。
きっと悟ビックリしてる。困ってる。いや、もしかしたら怒ってるかもそれない…
先ほどの驚いたような悟の表情を思い出し、私は再び自分の顔を覆った。
エレベーターが一階へと着き、そのまま外へ出ると。先ほどの空間とは違って人々で賑わっている。
もう悟は…追いかけてこないよね。
一度後ろを振り向き悟が来ていない事を確認すると、駅へと歩き始めた。
動揺する心とは裏腹に、脚は冷静に私を駅へと運んでくれる。
私、次どんな顔して悟に会ったらいいの。
そもそも私が嫉妬って…何でそんなこと…
仲の良い友人が取られると思ってそんな気持ちになったの…?
それとも、悟が私よりも仲の良い女の子を作るのが嫌だとでも思ったの…?
何それ。自分勝手すぎる…それにどの考えも私どうかしてる…
電車を降りて、ぐるぐるとした頭を抱えながらマンションへと着き。エレベーターを降りた瞬間私は自分のアホさ加減に嫌になった。
そうだ、私が彼から逃げらるわけがなかった。
そもそも、家だって隣なのだから。
悟には、瞬間移動する術があるのだから。
「やぁ!本気で僕から逃げられると思ってたなんて、リンは本当におばかさんだなぁ。僕が君を逃すはずがないのに」
壁に寄りかかりこちらを見ていた悟は、ニヤリと口角を上げると、サングラスの隙間から碧色の瞳が私を覗き込んだ。