第17章 二人でデート
「悟ご馳走様、すっごく美味しかった」
お会計を終えてお店から出てきた悟にお礼を言うと「いーえ♪」と言って私の頭にポンっと手を置いた。
そういえば悟って昔から良くこうやって頭を撫でてくれたりするけど、好きな子にもそういうことするのかな…
そう思うと、再び変な不快感が私の胸の辺りをモヤつかせる。
まただ、何で私…さっきから少し変な気分になっているんだろう。
今日は悟のデートの練習なのに、悟が好きな人と上手くいくための練習なのに…
「そういえばこの店の上すごい夜景綺麗なんだけど、行く?」
夜景綺麗なんだ。さっきのお店も綺麗だったもんね。夜景が綺麗って知ってるってことは、悟ここのお店にもその夜景が見える場所にも以前来たことがあるってことなのかな。
「うん、せっかくだし行こっか!」
そんな心の内を紛らわすようにして笑顔を向ければ、悟が私の手を引き歩き出した。
「え?手…」
「デートと言えば手繋ぐでしょ」
「あ、そっか、なるほどなるほど…」
そうだよね、デートだもんねこれ。手くらい繋ぐよね。そう思い悟と繋がれた二人の手を見つめる私。
だから私は気が付いていなかった、そんな私を真剣な表情で見下ろしている悟の姿に…