第17章 二人でデート
私の隣を歩きながら口角を上げる悟は、サングラス越しに私を見下ろす。
「僕を男として見てほしいからだよ」
……?
悟を男の人として…?
「私、悟のことちゃんと男の人って分かってるよ」
だって悟はどう考えても女性じゃない、背だって高いしイケメンだし、どっからどう見ても男性だ。
そんな疑問を頭に浮かべている私に、悟は「天然もここまでくるともはや清々しいね」なんて言っている。
「リンはさ、僕の事をちゃんと異性として見たことないでしょ」
「え、だからあるってばぁ」
「うーん、そうじゃないんだよな。僕が男とか女とかそういう性別の話じゃなくてさ」
「……?」
訳がわからず首を傾げる私に、悟は歩幅を合せ歩いてくれる。きっと悟の方が全然足が長いから普通に歩いたら速度とか全く違うんだろうな。
「僕に、ドキドキしたりときめいたり顔を真っ赤にしたりして欲しいんだよ」
その悟の言葉に、私は一瞬固まったあと、ハッとして意識を取り戻すと…しばらく考えてか口を開いた。
「もしかして悟…好きな人がいるの…?だから私にデートの練習してほしいの?お礼ってそういうこと…?」
驚いたように目を見開き悟を見上げると、悟自身も驚いたような表情をしてこっちを見ていた。