第16章 酷い夜だからこそ
「私…甘えるとか、頼るとか…あんまりした事ないからきっと下手だと思う」
「うん、少しずつで良いよ。それまではリンが辛い思いをした時、絶対に僕が気付いてあげるから」
悟はどこまでも優しい。どうしようもないほどに優しい。
「悟…ありがとう。悟がいてくれて本当に良かった…」
きっと悟になら、いつか自分からでも頼る事ができるかもしれない。甘える事ができるかもしれない。
もっと自分に素直になれるかもしれない。
「まぁ僕最強だからね、リンの不安な気持ちはこれから僕が貰い受けるよ」
悟のその言葉に、ふふっと小さく笑うと。まるで暗くなっていた気持ちを晴らしてくれるみたいに悟も私へと微笑んでくれた。
ありがとう
ありがとう悟。
本当にありがとう。