第16章 酷い夜だからこそ
「あ!あったあったコレ。何か犬と飼い主の絆系ストーリーなんだけど、最後犬が病気で死ぬらしいよ」
「え…ちょ…信じられないレベルのネタバレなんだけど」
唖然とする私に「ははっ、めんごめんご!」なんて言ってくる悟。絶対悪いと思ってないでしょ…
そういえば、以前にもこんな事があったな。
高専2年の年末年始の時。
一人でいるのが寂しくて、だけどそんな事誰にも言えなくて。
そんな時、私を見つけてくれたのは悟だった。
一緒にゲームしてテレビ見て初日の出にも連れて行ってくれたっけ。
そう思うと、こうして辛い時…いつも私を明るい方へと導いてくれるのは悟だったように思う。
いつも私を見つけてくれるのは悟だった。
「悟、ありがとう」
ポロリと私の口からこぼれた言葉に、悟は「何が?」と言ってテレビへ向けていた視線を私へと移す。
「今日一人でいたくない気分だったから…」
そう呟いた私に、悟ははいじっていたテレビのリモコンをサイドテーブルへと置く。
「伊地知から聞いたよ、今日の任務結構重めだったんだろ」
「…うん」