第15章 母校と同期
「ははっ、冗談だよ。リンが昨日気持ち悪いだとか寝かせろだとか文句言うから仕方なく連れて帰ってきただけ」
どうやら私は悟にとんでもない迷惑をかけてしまったらしい…
「うぅ…本当に申し訳ないです…」
深々と頭を下げる私に、悟は置いてあったサングラスをかけると私を再び見下ろした。
「リンってさ、いつもあんな感じなわけ?」
「あんな感じとは…?」
「お酒飲むと記憶消えたりするのかってこと」
どこか機嫌が悪そうに聞いてくる悟は、腕を組むようにして私を見つめてくる。
「いや、いつもってわけじゃないけど。たまーにあるかな…?って時はある…かも…」
その私の言葉を聞いた瞬間、悟はサングラス越しでも分かるほど私を強く睨みつけると「ふーん、じゃあ今までもそういう事あったんだ」と言って低い声を出す。
どうやら私は昨日…悟にとんでもないほどのご迷惑をおかけしたらしい…そうじゃなきゃこんなに怒るはずがない…
「ご、ごめ…ん」
ブルブルと震えるようにして半ベソで悟に謝ると。
「今後、飲み会とかで遅くなる時は僕に言って」
「…え?何で…?」
「リンの酒癖が悪いからだよ、友人が路上でのたれ死んでたらいくら僕でも目覚め悪いからね」
「いや、さすがの私も路上で酔っ払って寝た事ないよ…?」
苦笑いを落とす私に、悟はベッドの前まで歩いてくると…私の座っているマットレスの真横へと手を置きギジリとスプリングが軋む音を響かせ、グイッと顔を目の前に近づけきた。
「返事は、はい以外聞く気ないから」
「…は…い」
あまりの迫力にそうつぶやけば…私の返事を聞いた悟は満足そうに一度ニコリと笑うと、あっという間に寝室を出て行ってしまった。