第15章 母校と同期
「硝子…昨日はごめんね」
「いや、私は別に迷惑かけられてないよ」
机に向かい書類を書いていた硝子が椅子をくるりとこちらへ向ける。
「ほら、頭痛薬」
「うぅ、ありがとう」
ポイッと投げられた頭痛薬をキャッチすると、それをプチプチと二粒出して飲み込んだ。
「それにしても私、昨日そんなに飲んでたかなぁ」
「まぁ飲んでなかったとは言えないな、それに久しぶりの日本で疲れてたんじゃないか。酔いが回りやすかったのかもな」
「悟めっちゃ怒ってたよー…次から飲み会の時は言えだってさ。私の酒癖がわるいから…」
そう呟いた私に、硝子は「あぁ、それは大変そうだな。乗り込んでくる可能性すらある」と良く分からない事を言うと、再び机へと向き直った。
「そう言えば昨日、言おうとしてたんだが忘れてた」
「ん?何?」
「まぁあえて伝えるか迷ってたんだけど、一応な」
硝子はカップに入ったコーヒーを飲みながら口を開く。
「実は七海、呪術師に復帰してるんだ。まぁもう三、四年も前の話しなんだけどな」
「……え…」
七海君は高専卒業後、呪術師にはならず一般企業に就職したと聞いていた。きっと灰原君の事があったからだろう…
だけど、そっか…呪術師としてこの世界に戻ってきていたんだ…
「もしかしたらそこらで会うかもしれないから、一応伝えとこうと思って」
「そっか…うん、分かった…」