第15章 母校と同期
「ほらリン起きて、帰るよ」
リンの身体をゆらゆらとゆするけれど「ん〜〜」というだけで、まるで起きる気配がない。
「私は、この残りの酒飲んでから帰るから」
とマイペースにおちょこへトクトクと酒を注ぐ硝子は、本気で手伝う気がないらしい。
あぁ、本当僕の同期ってマイペースな奴ばっかりかよ!まぁ僕も人の事言えた義理じゃないし、リンじゃなきゃこんな面倒な事するなんて100パーセントありえないけど!
「じゃあな、硝子。お金はここに置いとくから、お前もあんまり遅くなるなよ」
「わぁ驚いた、私の心配までしてくれるなんて、五条はリンがいると周りにまで優しくなれるんだな」
なんて笑いながら言う硝子の言葉を最後まで聞く事なく、リンを抱き上げるとバンっと襖を閉めた。
はぁぁ、硝子のヤツこれでもかってくらいからかいやがって。
リンを抱きながら長く静かな廊下を歩いていると、数人の店員とすれ違い何度も振り返るようにして見られているのが良く分かる。
さっきまで包帯を巻いていた時は見向きもしなかったくせに、僕の素顔が見えた途端色目を使ってくるなんて本当に腐ったみかんみたいな奴らだ。
僕に好意を寄せる女も、色目を使って来る女も…どうだっていい。
僕の中ではリンだけが女で、リンだけがいればそれで良い。
そもそも、他の女抱えてる奴に色目使って来るってどういうことだよ。どうかしてるだろ。彼女かなとか思うのが普通だろ。
まぁ、心底どうでも良いけど。