第15章 母校と同期
目の前には僕を見上げているリン。
その表情はどこか虚で頬を紅色にほんのり染めている。
「あー、これは怪我じゃないですね〜」
僕の瞳を覗き込むようにしてマジマジと見たリンは、真剣な表情をしたあと。
「だってこんなにキラキラしてて〜宝石みたいに綺麗で〜まるで透き通る海みたいに澄んでて〜…」
リンはそこで言葉を止めたあと、パッと僕の両頬を掴むと。
「この瞳は私の宝物にしましょ〜だってこんなに綺麗な色見たことないっ!!」
そう言ってニカっと無邪気に笑うと、目の前に置いてあった日本酒を飲み干した。
「…っちょっと!これ以上飲むなよ!」
慌てておちょこを取り上げるけれど、それはどう見ても飲み終わった空っぽのおちょこだ。
この僕が反応に遅れるなんて…
というか心臓うるさいし……
「五条、顔真っ赤だぞ」
硝子にニヤリと言われ「分かってるよ」と視線を逸らして答える。
分かってる。
いつもより心臓がうるさいのも。
いつもより顔が熱いのも。
だって、好きな女にこんな事言われて…嬉しくないわけないだろ。
しかも僕にこんな事言うのも…こんな表情させるのも…
お前だけなんだよ。リン……