第2章 合同任務
「あぁっ鈴ね!あの鈴の音ね」
ビックリした…一瞬私の事を言ってるのかと思っちゃった。そんなの自意識過剰も良いところだ。
「あの鈴の音は、全てを魅了する為に作られてるの。そしてその音で影を吸い尽くしていく」
私の濡れた髪にスッと触れた七海君の右手。七海君はそれをゆっくりと耳にかけてくれると…
「まるで、あなたみたいですね」
「……えっ」
「あの鈴の音は、まるであなたみたいだ」
思わず見上げた七海君の表情は、いつもの冷静沈着な表情ではなく…優しく目を細め私を見下ろしていた。
カッと赤くなっていく頬。心臓がドキドキしておかしくなりそうだ。
あの鈴の音が私みたい…?それってどういう意味なんだろう…。だけどさっき鈴の音が綺麗だって言ってたから悪い意味では無いんだとは思うけど。私を褒めてくれてると受け取っていいんだろうか。
しかも…手が頬に触れて。髪まで耳にかけてくれた…
ドキドキとした胸の鼓動を抑えるようにして口を開こうとした時だった。
「お前、何でそんなずぶ濡れなんだよ」
いつの間にか近くまで来ていたらしい悟と傑がギョッとしたように声を上げる。
「風邪を引くよ、リン」
「あはは…ちょっと水被っちゃった」
「ちょっとのレベルじゃねェだろそれ。風呂でも入ったんかよ」
悟は私に近付いて来ると自分の学ランの袖でゴシゴシと髪の毛を拭いてくれる。