第15章 母校と同期
「……悟?」
上着のポケットに手を入れ隣を歩いていたはずの悟は、いきなりピタリと止まると。何ごとも無かったかのように再び歩き出す。
「ははっ、本当天然の人垂らしだなぁ」
悟のそう静かに呟かれた声が私へ届く事はなくて。私はもう一度私の隣へと並んだ悟に笑顔を向けた。
その後は、夜蛾先生へ帰国の挨拶をしたあと。硝子の所へと向かった。
「やぁ、リン。やっと帰って来たな」
「硝子ー!会いたかったよ〜」
椅子に座りながらくるりと振り返る硝子へとギュッと抱き付く。
硝子とは年に一度は毎年会っていた。私の任務先まで遥々来てくれていたのだ。
その時に高専の事や、こっちの呪術界のことはある程度聞いていたものの、まぁ8年ぶりの日本となったら、やっぱり話を聞くだけでは状況は掴めていないわけで。硝子が高専にいてくれるだけでかなり心強い。
それにこれからはまた、いつでも会えると思うと嬉しくて仕方がない。
「今日は簡単な任務が一つあるだけなんだろう?夜飲みに行かないか?」
「もちろん行く行く!!」
「えー、じゃあ僕も行きたい」
私と硝子のハグをベッドに座り見つめていた悟が携帯をいじりながら話に入ってくる。
「良いよ!悟も行こう」
「いや、五条はそんな時間ないだろ」
ニコニコと悟を見ていた私に、硝子がそうキッパリと言い放つ。
「え?そうなの?やっぱ特級呪術師しながら先生って大変なんだね」
そういえば悟は高専時代からは想像も出来ないが、高専の先生をやっている。