第15章 母校と同期
マンションの下に降りれば、すでに伊地知君が車で迎えに来ていた。
そして車を走らせること10分。懐かしい光景が私の目の前に広がる。
「伊地知君、ありがとう!」
車を降りて笑顔で手を触れば、少しだけ頬を赤めた伊地知君が「いえ、今日から頑張って下さい」と言って車を発進させた。
「あー伊地知まじムカつく」
「どうして?今ムカつくポイントあったかな?」
「あったあった、めっちゃあった」
「あんまり伊地知君いじめたらダメだよ」
石畳の階段を登りながら悟と二人隣り合わせて歩いていると、まるで高専の時を思い出す。
私に悟、そして硝子と……傑。
傑は今、一体何処で何をしているんだろう……
そしてもう一人の人物が私の頭に浮かんできて…それを必死にかき消すようにして悟に話しかけた。
「そういえばその目隠しそれで見えてるの?すごいね」
悟の目元に巻かれた白い包帯を見て不思議そうに首を傾げる。
「もちろん見えてるよ、サングラスより軽くて動きやすいんだ」
「サングラスの時も悟のやつ真っ黒ですごいなと思ってたけど、その目隠しは絶対見えないからもっとすごいね」
「まぁ僕からしたら、これが丁度良い感じなんだけどね」
「何かサングラスよりそっちの方が強そうに見えるよ、一般の人から見たら完全に不審者だけど」
「不審者扱いされるくらいの方が僕には丁度良いさ」
確かに、サングラスしても全然顔隠れてないからいつも人だかりがすごいもんね…そんな悟の言葉にやけに納得して頷く。
「でも悟の瞳が見れないのはちょっと残念だなぁ」