第14章 帰国
「ジャーン!今日からここがリンの住む家でーす!」
リビングに入った私の方へと振り向いた悟が、両手を広げてニコリと笑って見せる。
「ん?え?私が住むって言った…?」
訳がわからずそう聞返せば悟は「そうだよ〜、リンの家!」と言ってピースなんてしてくる。
ちょっと待って…全然分からない。
こんな高層マンションで…こんな高級な部屋に私が住む…?
何でそんな事になったの…?
「私、しばらくは高専のアパートに住む事になってたはずなんだけど…」
高専内には学生寮、教員寮、その他にも高専を拠点に任務をこなしている術師のためのアパートがいくつかある。
私は部屋が決まるまでそこに住むつもりだったんだけど…
「あぁそれね、僕がキャンセルしといた」
「え!?キャンセルしちゃったの?てゆうか私こんな高級な所住めないよ。家賃いくらなの!?」
「それなら無問題!なんせここの家賃タダだから!」
「タダ!?そんな訳ないでしょー、いくら私がバカでも騙されないからね」
「本当だよ、だってこの部屋僕の持ち家だから」
「へ…?」
「だーかーら、僕の家なの。でも今は使ってないからリンに貸してあげる」
ポカーンと立ち尽くす私に、悟はニッと歯を見せて笑うと、頭にポンっと手を乗せた。
こんな高級マンションを人に貸しちゃうなんて…
一体…
「特級呪術師のお給料っていくらなんですか…?」
「ブッ!!」
ポロリと漏れたそんな私の疑問に、ケラケラと楽しそうに爆笑する悟。こんな高級マンションを購入して、しかも使わず人に貸すとか…一体どんだけお金持ちなのさ。