第14章 帰国
車内では、高専時代の伊地知君の話や他の一年生の話でやけに盛り上がり。
てっきり今日は高専に行くのとばかり思っていた私は、目の前に聳え立つ高層マンションを見上げ数回パチパチと瞬きした。
「???」
ここはいったい何処なのだろう。
「リンこっちだよ、着いて来て」
悟にそう言われ、早々と入り口に入って行く背中を追いかける。
中に入ると、そこは広々とした豪華なロビーが広がっていた。
「五条様、おかえりなさいませ」
え…マンションコンシェルジュさんがいるよ…そんなマンション初めて来た。
唖然としている私に、悟はエレベーターに乗り込むと当然のように最上階を押す。
最上階へ着くと、二つ目のドアで足を止めた悟は私へと振り返り「はい」と言って何かを手渡した。
「ん?何これ?」
渡された物を見ると、ウサギのキーホルダーが付いた…鍵?
「開けて良いよ」
「え?ここのドア?」
「そう」
ただ言われるがままドアを開けると、悟に中へ入るよう促され足を踏み入れる。
室内は、入った瞬間白の大理石が敷き詰められた広い玄関。そしてその奥には信じられないほど広々としたリビングが広がっている。
悟はキャリーバックを室内に入れると「入りなよ」と言ってリビングへと行く悟を追いかけた。