第14章 帰国
「じゃあ行こうか」
そう言って私のキャリーバックを持ってくれる悟は
「えーめっちゃイケメン!」
「芸能人?でも見たことないよね!カッコ良すぎない?」
そんな周りの言葉を気にする事なく、早々と歩き始めた。
いつかの遊びに出かけた時の事を思い出す。全くあの時と変わってない…むしろ人だかりが増えてる…やっぱ悟ってモテるんだなぁ
そしてもちろん悟の隣を歩く私まで自然に目立ってしまうのさえ…何だか今は懐かしい。
悟に案内された場所で待っていたのは、良く高専で使われている黒塗りのセダン。
悟がそのドアを開けてくれて、中へ入ると。そこには見知った人物が、乗っていた。
「え?もしかして伊地知君?」
運転席に座っていたのは、学生時代と同じように眼鏡をかけそして黒のスーツを着ている伊地知君の姿。
「影千佳さん、お久しぶりです」
「うわぁー!本当に久しぶりだね!」
「何かリン、僕の時と反応違くない?」
「え?そお?そんな事ないよ」
伊地知君は私達が三年の時の一年生で、今は補助監督をしていると硝子から以前聞いていた。
久々に帰って来た日本でも知っている人がいるとやっぱ安心するな。良かった。