第13章 東京都立呪術高等専門学校
その瞬間、なんとも言えない寂しさが私を襲うけれど…私はそのままいつもの通りニコリと笑て悟の背中を叩いた。
「そんな冷たい事言わないでよ!ぜっっったい来てよね!」
ニコニコと笑い悟を見上げれは「はいはい」と悟は呆れたように笑い返してくれた。
「それじゃあ、二人ともまたね!!」
「おー」
「着いたら連絡してね」
日本で働くほとんどの術師は高専を拠点に活動している。
つまり悟と硝子は、これからも高専にいることが多いわけで。
二人はこれから住むところを決めてから寮を出るらしい。
私はというと…卒業式の今日、日本を旅立つという慌ただしさだ。
私は高専の前に止まるタクシーへと歩き出し、ドアを開けようとした時だった。
パシッと強く腕を握られ、その勢いで後ろへと振り返る。
その瞬間、ぎゅっと強い力で抱きしめられた。
「ずっと待ってる」
そう小さく耳元で囁かれたのは悟の声。
悟の優しくて温かい声。
だけど…
次の瞬間には悟は私を離し、タクシーのドアを開けると私を押し込み早々とドアを閉めた。
悟の合図で走り出す車。
「…え、あ!」
悟へ何か言おうにも、すでに高専の門は遥か遠く…見えなくなっていく。
ずっと待ってるって…
それって一体…
「……悟…」
静かなタクシーの車内は、私が悟の名前を呼ぶ声だけが響いた。