第12章 二人の背中
持っていたペットボトルが床へと落下していく。
バシャバシャと水音を立て流れていくそれすら気にならないほどに…
「は?」
悟のそんな大きな声が廊下へと響く。
「何度も言わせるな、傑が集落の人間を皆殺しにし行方をくらませた」
何を言われているのか分からなかった。
これが現実なのかも…はたまた夢なのかも…
「聞こえてますよ、だから“は?”つったんだ」
だってそんなわけ無いから…
「…傑の実家はすでにもぬけの殻だった、ただ血痕と残穢から恐らく両親も手にかけている」
傑が…そんな事するわけないから…
「んなわけねェだろ!!」
悟が叫ぶ大きな声に、私は現実に戻されるようにしてビクリと肩を揺らした。
「悟」
そんな私と悟に、夜蛾先生は頭に手を置き俯くと…
「俺も…何が何だか分からんのだ」
「「……っ!!」」
そう呟いた…。