第12章 二人の背中
あれから、七海君とはほとんど顔を合わせていない。
もう一度話し合おうか…何度もそう思ったけど…最後の彼の表情を思い出して…私はそれをやめた。
廊下や外ですれ違うたび、無視する訳でも避ける訳でもなく…まるで何ごとも無かったかのように挨拶をしてくれる七海君。その優しさが余計に私を苦しめた。
傑と硝子に別れた事を話せば、硝子は怒ったように溜息を吐き出し、傑はただ優しく私の背中をずっと撫でてくれた。
いつも通り一人での任務を終えて高専に戻ると、珍しく門の前で悟と一緒になる。
「こんな時間に会うの珍しいね、お疲れ様」
「雑魚のどうって事ない任務だった」
「まぁ悟からしたら、ほとんどが雑魚扱いなんだろうね」
「まぁね、俺最強だから」
二人で何気ない話をしながら教室へと向かう途中。
目の前から慌てた様子で夜蛾先生がこっちへ向かって来るのが分かる。
先生は私達の前で足を止めると…
その時言った先生の言葉に、私は呆然とその場に立ち尽くした。