第11章 初夏の乾き
「リンさん、別れよう」
「……ぇ…」
私が絶対に聞きたくなかった言葉。
ずっと一緒にいたいと…何度も願った。
ずっとそばにいたいと
ずっとそばにいてほしいと…
何度もそう思った。
「…わか…れる…?…」
何が起きたのか分からない。
何を言われたのか分からない。
「どうして…私…別れたく…無いよ…」
ポロポロと涙が溢れ出す。
それを見た瞬間、目の前の七海君は辛そうに顔を歪ませ…唇を噛み締める。
「離さないって言った…じゃん…ずっと一緒だって…」
私の言葉を聞くたび辛そうな顔をする七海君の表情が、私の胸をさらに苦しくする。
ヒックヒックと喉を鳴らしながら溢れ出る涙を抑えるようにして声を絞り出した。