第10章 雪の夜
そんな事を悶々と考えていた私に、悟が何か気が付いたのか。
「今日の事は誰にも言うなよ」
「……?」
「本来五条家に簡単に外部の人間入れたらいけねェんだよ。上の奴らがうるせーの。だから秘密にしろよ」
「あ、そうだったんだ…それなのに私入っちゃって平気だったの…?」
「まぁ平気だろ、俺次期当主様だし」
そう適当に答えた悟は引き出しから適当に服を取り出すと、昨日言ったことを覚えていたらしくシャワールームへ着替えに行った。
そっか…じゃあ七海君にも秘密にしないと。
でもそれって、何だかすごくモヤモヤする。
やっぱり好きな人に隠し事をするなんて、本来だめだよね。
これから隠し事をしないような行動をちゃんと取らないと…
だってもし私が七海君に隠し事されたらきっと凄く嫌な気持ちになるだろうから。
だけど昨日の悟には凄く感謝している。
一人でいた私を見つけてくれたのは悟だった。
昨日寂しい思いをしないで済んだのは悟のおかげだ。
そう思うと、七海君に隠し事をしているという罪悪感と…昨日悟と過ごした楽しい時間を思い出して…とても複雑な気持ちになった。