第10章 雪の夜
「くあぁー」と呑気に大きなあくびをする悟は、小さな冷蔵庫を開けるとそこから水のペットボトルを取り出し私へと放り投げた。
「ありがと」
「今日どうする、どっか行く?」
割れた腹筋をチラつかせながら、お腹をかきソファーへと座る悟は携帯をいじりながら聞いてくる。
「でも今日一日だし、悟は集まりとかあるんじゃないの…?」
「お前ほっといてそんなの行くわけねーじゃん」
「私は高専に戻るから平気だよ!気にしないで」
「いーんだよ、これであのクソみたいな集まりに行かなくて良い理由が出来たから」
「私と遊ぶ事がはたしてちゃんとした理由になってるのか怪しいけど…」
「俺らまだ10代だぜ?遊びに行くなんて真っ当な理由だろ」
テーブルに置いてあったサングラスをかけた悟は「あー何か甘いもん食いてー」と言いながらテレビを付ける。
「てゆうか私パジャマなんだけど、出かけられないよ?」
「あー俺の服…はデカくて無理か。リンチビだし」
「チビですね…だからどう考えても悟のは無理だよ。部屋着として着るならまだしも」
「そんじゃあ、一度高専戻るか」
時刻はすでにお昼過ぎで、お腹はペコペコだ。
でも、そういえば…
悟と二人で出かけないように私七海君に前言われてたんだ…
なのに私ってば…悟の部屋でオールして…同じベッドで寝て…
いくら私達に何にも起きるはず無いからって…七海君からしたら良い気しないよね…
悟と距離感が近いのも、今までずっと当たり前のように過ごしてたから…すっかりそんな事忘れていた。高専にいる時は二人で過ごす事なんてザラにあるし…
どうしよう、これって七海君に言った方がいいのかな…でも、言ったところで七海君に嫌な思いをさせるだけなんじゃ…