第10章 雪の夜
温かくて…
優しくて…
何だかとっても良い香りがする…
なんだろう、すごく心地が良い。
すごく…安心する。
私は、陽の眩しさに目を細めゆっくりと瞳を開く。
身体に感じる微かな重み。何だろうと思い少しだけ顔を上げると。
「…………へ?…」
目の前には絹のような綺麗な肌に、白く透き通ったまつ毛。
白髪の髪はふわふわと乱れ、恐ろしく整った顔立ちをしている目の前の人物は、スースーと気持ち良さそうに寝息を立てている。
どうやら私は悟に抱きしめられて眠っていたらしい。
目をぱちくりさせ、私は慌てて上半身を起こすと
「え?なんで悟…?何で一緒に寝てるの!?」
寝起きだからか、頭が混乱してよく回らない。でも確かに昨日悟はソファーで寝ていたはず。
すると、私の声に悟が起きたのか「何だよ。うるせェ」と言って目を開ける。
「何事?」
その表情は、私と寝ている事に対し、とくに驚いた様子もなくケロっとそんな事を言ってくる。
「何事じゃなくて、何で悟ここで寝てるの?」
「あぁ、いつの間にかいつもの癖で寝ちゃったのかね」
「えー!そんな事ある?」
「つーかリンこそ、俺の服掴んでるけど」
「え?」
悟がニヤリと笑い、自分の胸元辺りを見つめると、私もそれに合わせるようにして視線を移す。
「………っ…、ごめん!」
私は慌ててその手をパッと離した。
そんな私を、やっぱり悟はクスクスと笑うと、そのまま何事も無かったかのようにベッドから降りる。