第10章 雪の夜
その後は、泣き止んだ私に悟がゲームのコントローラーを投げて来て、二人で白熱バトルを繰り広げた。
他にもテレビを見たり、お菓子を食べたり。朝方まで二人で騒いだ。
朝には悟の瞬間移動で近くの山まで連れて行ってもらって初日の出まで見た。その時の悟の瞳が、日の出に反射してとても綺麗だった事は私だけの秘密だ。
山にいる時、悟は寒いだとか何だとかずっと文句を言っていたけど、でもその横顔はどこか楽しそうで、私まで嬉しくなった。
「あーー、眠っみィ」
初日の出を見て部屋に戻ってくると、悟が大きなあくびをしながらサングラスを外す。
「さすがにオールは疲れるね、3時ごろとかめちゃくちゃはしゃいでたし…私も眠い…」
「少し寝ようぜ」
「うん、賛成」
おずおずとソファーへ向かおうとしていた私を、悟の手が引き留める。
「お前ベッド使え、俺ソファーで寝る」
「え!いいよ!悟の部屋なんだから悟がベッド使って」
ブンブンと首を横に振ると、悟は眉間にシワをよせ私を見下ろす。その表情は眠いからなのか…サングラスをしていないからなのか…とてつもない迫力だ。
「女ソファーに寝せて、自分がベッド使うとかねェだろ」とそれだけ言うと、その長い脚を放り出しさっさとソファーへと寝転んだ。
本当に良いのかな…?と悩んだものの、眠さももう限界で「ありがと〜」と言いよろよろと歩くと、一人で寝るのに必要なの…と思うほど大きな悟のベッドへと潜り込んだ。