第10章 雪の夜
「今日さ…一日一人で過ごして、気付いたら夜になってて…あぁ、今年ももう終わるのか。こんな日に一人なんて…って思ってたら、そしたら悟の声がしたの」
そっと何度も優しく私の頭を撫でてくれる、悟の手が心地良い。
「一瞬幻聴かとも思ったんだけど、後ろ向いたら不機嫌丸出しの悟がいてさ…あ、これ絶対本物の悟だ!って」
「不機嫌さで俺を判断するな」
クスリと笑いながらそっと悟の胸を押してゆっくりと顔を上げる。
「今日本当はずっと寂しかった…」
頬に垂れていた涙を拭うと、悟を真っ過ぐに見つめた。
「だから来てくれて本当に嬉しかった、ありがとう悟!」
私はニッコリと笑い満面の笑みを見せると、へへっと笑ってもう一度涙を拭った。
ありがとう悟…
本当にありがとう。
悟がいてくれて良かった。
悟にこの話を出来てよかった。
私が見つけられなかった寂しさを、拾ってくれてありがと。
優しさで包んでくれてありがとう。
私の側にいてくれて
……………ありがとう。